テキストサイズ

手探りな絶望

第1章 流星

スリッパを履いた女は
烏龍茶を
両手で包み込み
背中を丸くした


余程寒いらしい


さて…どうすっかな…




「なぁ…

タクシー代出してやるから
家に帰れよ」



頼むからさ

帰ってくれよ

これが
俺の本音



「家には…帰れないんです…」




「んじゃ
友達の家とかそんなんでも
かまわねーから」





「すみません…

あ、ありがとうございました


もう…大丈夫なので…」





行くとこがねーのか
女はそこから
もう大丈夫と言いながら
そこから動こうとしない


俺は
一層関わり合わない方が
いいと思いはじめた


でも実際
金も持ってなさそーで
大丈夫なわけがない


それでも
やっぱり俺に
迷惑かけてると思ったのか
その女は
もう大丈夫なのでと
何度も俺に頭を下げ

俺を帰らせようとした





てかさ




なんで
今日なんだよ



なんで
今日


こんな事が
起きるんだよ

ストーリーメニュー

TOPTOPへ