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叶わぬ恋でも君のために。

第8章 君の嘘

拓実君は神妙な顔で口を開いた。





「兄貴か…俺しかいない…。」







!!!





そんな…。





「俺達には…母親が居ない。


小さい頃から親父とサヤさんに育てられてきたんだ…。


俺も、兄貴も…そしてサヤさんも、親父の苦労を知ってる。

だけど、俺は…兄貴程、頭が良くない。


親父は兄貴に継いで欲しいんだ。
長男だし、それが妥当だ、って…。


俺は正直ほっとしてるけど
兄貴には申し訳ないって思ってる。」






“拓実が継げばいいのに”

“自由に生きていたい”


あれは私にだけ聞かせてくれた本心?




「生田さん…ごめんね?」



「え?どうして拓実君が謝るの?」



「俺が兄貴の変わりに後継ぎになれば


兄貴だって…



生田さんだって…。」




それは---





「それは…違うと思う。」


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