叶わぬ恋でも君のために。
第21章 自分のために。
…秀ちゃんは…
どこか吹っ切れたような表情で話始めた。
「俺がまだ小さい頃、親父が夢だった会社を立ち上げてすぐに…母さんが病気で亡くなったんだ…。
“お父さんと協力して
お父さんを助けてあげてね。”
“秀司は長男なんだから
あなたがお父さんの会社を守るのよ”
それが俺に残された母さんからの遺言だった。
実は…サヤさんは…母さんの母親で
俺と拓実のお婆ちゃんなんだ。
サヤさんは…母さんと親父の結婚に猛反対していたらしい。
一から会社を立ち上げようとしてるんだから失敗すればそれだけ母さんが苦労するって思ったみたい。
母さんが病気になった時サヤさんは、母さんに苦労をかけすぎたせいだって父さんを責めた。
だけど、母さんは“お父さんの夢を手伝うことが私の幸せ”そう言いながら毎日楽しそうにしていた。
それをサヤさんに俺は一生懸命伝えた。
母さんは幸せだったよ、って…。
それでもサヤさんは納得してくれなかった。