
叶わぬ恋でも君のために。
第22章 君と生きる。
社長は今…私と秀ちゃんのことを
温かく見守ってくれている。
先日、会社で久し振りに社長とすれ違うことがあってその時に、
「生田君、今まで色々と済まなかったな。
秀司のこと、ありがとう。」
そう言ってくれたんだ。
極めつけに、
「孫は早い方がいいな。」
秀ちゃんがイタズラする時に見せる顔と同じ顔で
そう言い残して行った。
社長は秀ちゃんのことも拓実君のことも大事に思っていると思う。
お金があるのに飲みに出歩かない、女の噂も聞いたことがない社長は
今でも奥さんのことを愛しているのだろう…。
社長と奥さんの夢を大事にし過ぎるあまり、
秀ちゃんへ過剰に求め過ぎちゃったのかな…。
社長の心も…穏やかでありますように…。
幸せでありますように。
そんなことを思っていると
エレベーターが一階に着いた。
そして、先に降りた拓実君が振り返ると
「眞子ちゃん、兄貴をよろしくっ。」
そう言った後、拓実君は彩さんの腰に手を回して
外へと出て行った。
二人はすごくいい雰囲気に見えた。
どうか…拓実君と彩さんも
素直に気持ちを伝え合っていて
幸せでありますように…。
