叶わぬ恋でも君のために。
第8章 君の嘘
衝撃すぎる旅が終わって……
また今日から一週間が始まる。
いつものように門をくぐってお手伝いさんのサヤさんに挨拶をした。
いや…、
いつもとは…ちょっと違っていた。
おはようございますと私が挨拶しても
サヤさんから挨拶が返って来なかったのだ。
声、小さかったかな…。
そんな訳は無いのだけど、気にしないようにして廊下を進もうとすると
「生田様。」
「はい…。」
急に冷たい声で呼び止められてドキッとしながら振り向いた。
「生田様、ここへはどのような目的でおいでですか?」
え…?
サヤさんは、呆れたような表情で
深い溜め息をついた。
「秀司様に、婚約者が居ることはご存知ですよね?」
「…はい…。」
「本来の目的をお忘れになられているのでは?」