
鍵のない手錠
第2章 日常
カバンをもって立ち上がろうとすると
後ろにいた颯介さんに
頭を撫でられて後ろから抱きしめられる
「ちょ、暑いっすよ!颯介さん、それやだ」
「抱きつかれんの?嫌?」
「嫌っーか・・・いや、嫌なのかな?」
「瑛ちゃん、可愛い。マジ癒される。」
そう言うと、俺の目を見て
首を傾げる
俺のなにに癒されるの?
そう声が聞こえるくらい
瑛の表情が目が
俺に話しかけていた
「とりあえず帰るか?」
「あぁ。・・・忘れもんねーよな、よし」
そう言って、周りをみて
忘れ物がないことを確認し
満足そうに歩き出す瑛を見る
いちいちなんでこんなに可愛いのか
俺だけじゃない
瑛への色目は男女ともに半端ない
瑛が鈍感だからか、興味ないからか
本人は気づいてないみたいだけど
もう新歓なんかいつ
襲われてもおかしくないくらいの状況だった
まあ、モデルだし・・・
端正な顔立ちで女みたいだけど
かなりイケメンだし・・・
それで、この性格だろ?
危なくて他見れねーよ
そう思いながら、瑛の頭をまたわしゃわしゃっと撫でた
これは他の者への牽制
手はだしてねーけど
こいつは俺のものって周りに示している
誰にも触らせたくねぇ
いつでもこいつを俺は抱ける
だから焦らない
その気になるまで我慢だ
正門をでて、お互いが分かれる道の手前で立ち止まる
「瑛ちゃんさ、俺の家くる?」
いつもの会話。
いつも俺は瑛を誘う
でも、瑛はいつも通り首を左右に振った
「レポートやるときか、朝早いときにしか来てくれねーの?俺、こーみえて料理得意なんだけどなー」
「行きてーんだけど、俺これから撮影。わりぃ、また飯食わせて」
「なんだよ。お前の撮影のスケジュール俺に教えとけ」
つい、そんなことを言ってしまう
やばい、そう思ったけど
瑛はいたって普通に
撮影の時間が変動したり増えたりするんだ。
大まかにだったらいいけど?
なんて言うから
俺はある意味、落ち込んだ。
ただの先輩後輩で瑛は疑ってないってことね。
