
鍵のない手錠
第2章 日常
講義室に移動して
だるい授業が始まる
と射るような視線に気づいて
俺は周囲を見わたした
またあいつか・・・
背が高くて優しそうな目元
誠実そうで男女ともに人気がある
でも、瑛を俺のものだといわんばかりの視線を野郎共に送っていることを俺は知っていた
ゲイにしかわからないだろうその威嚇
それを周りに出すってことは
多分、雨宮颯介はバイ。
最初は単なる独占欲の延長かと思ってたけど
俺が瑛といると
必ずあいつが現れる
「瑛。今日予定は?」
ノートをとってる瑛にそう聞く
「んー・・・特になにもー・・」
「あそ。じゃ、俺と飯いく?」
「んー・・」
カリカリとペンを動かしながら
瑛が適当な返事をする
なんだよ、と肩を抓ると
?
を浮かべた顔でこっちをじっと見て来て
俺はため息をついた
と、瞬間
瑛の顔色が変わった
その視線の先にいたのは
雨宮颯介。
気づいてなかったのに
俺が抓ったりしたからか
くそー・・ついてねぇ・・・・
そう思うと同時にチャイムがなり
教授が教壇を降りる
「瑛飯行くぞ」
もたもたと片付けていた瑛の腕をとってそう言うと、いつの間にか後ろにいた雨宮がその腕をとった
「だーめ。瑛は今日俺と飯行く約束だから。な?」
「は?俺飯行かねーよ?なにお前ら、2人で行けば?」
そんな地獄の提案をする瑛をにらみながら
先に俺は諦める
「じゃーいーや。瑛、また明日な。俺たち同じ学年なんで、毎日顔合わせるし」
わざと雨宮にそう言うと
片眉をピクッとあげた
その仕草をみて、俺はまた確信する
ほらな、こいつやっぱ瑛に気がある
瑛は全然他の色目に気づかねーし
そう思いながら、ガタッと席をたつと
瑛が袖を引っ張った
「何怒ってんだ?また明日な」
「・・・可愛いことすんな。怒ってねーよ、また明日」
そう言ってひらひら手を振り歩き出すと
背中に殺気を感じる
どーせ、あいつが睨んでんだろ
瑛がゲイならなー・・・
そう思いながら俺は教室を出た
