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ワタシの履歴

第31章 終末

こうして、出逢ってから龍平と過ごした8年は、終末を迎えた。


夕方発のカーフェリーに乗り、夕日を見る。

夕日が哀愁漂う…なんて綺麗な感じではなく、遠ざかっていく陸地が、工場の煙突から出る煙が、私の心をギュっと締め付けた。


『…本当に終わったんだ…』

また涙が流れ落ちる。


北海道が、遠くなっていく…

陸地は全く見えなくなり、辺りは暗くなってきた。



チェルシーは、まだ大丈夫。

部屋を散策し、タオルに潜りこんだりして楽しんでいる。

砂糖水もバイトも、粉の栄養剤を溶かした物も、ちゃんと食べた。



でも、夜は全然眠れなかった。

終わったはずなのに、スッキリするはずなのに、ゆっくり眠れるはずなのに…


うとうとしながら夜を過ごし、そろそろ夜明けだ。

私はチェルシーが寝ているのを確認して、船のロビーに向かった。

数人がコーヒーを飲みながら新聞を読んでいる。

それを横目に、甲板に出た。

あと少しで、朝日が昇る…

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