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第1章 彼



車に乗り込み
喪失感と疲労が
押し寄せる


彼から渡された
彼の部屋の鍵を
車のキーと繋ぎ


エンジンを掛け
駐車場を出た


見慣れた風景が
音もなく
流れてゆく


彼との記憶を
思い返してみたが


脳裏に浮かぶ
彼の残像は
床に寝転ぶ
彼の遺体姿ばかり


彼の死を
実感する事なく


ただただ
不満だけが
湧き上がった







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