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第2章 一ヶ月前



彼は”今”
僕に慰めを
求めては いない


ただ事実を
伝えたいだけ


電話越しの会話で
癒せる話でもなく


突然 突き付けられた
現実の出来事に
混乱状態でいる彼を
落ち着かせる事しか
僕には出来ない


『疲れただろ
今日は もう寝な』


『眠れない』


『わかってる
明日 行くよ』


数秒の沈黙を断ち切るように
再度 同じ問い掛けをした


『大丈夫か』


しばらくして
冷静を取り戻した
返事が漏れた


『大丈夫だ』


僕は
切れた携帯電話を
力なく下ろし
重苦しい溜息をついた




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