
「俺は、男だ!クソ野郎」
第6章 何で俺…女装してんの。
「ほぉ~、この生意気女が高校生なのですか…」
「んだよ」
上から下まで見られ、
疑いの目を向けられた。
ふん、なんとでも言え。
バカだの、アホだの言われたって
ちっとも痛くねぇし。
俺は完全に拗ねている。
すると、
握りしめていたケータイが震動した。
ちなみに、携帯は
スマホです←
画面を見ると、
そこにはまた“橋川 翼”の文字。
次は、着信ではなく
メールだった。
開くと
『もう着いたよ♪』って書いてある。
…あっそうだ。
俺、翼先輩にお店の入り口の方で
待っとけって言われてたんだ。
それを思い出すと、
「じゃあ、急いでるんで」
と言って、
この場から出ようとした。
だけど、紺野が道を通せんぼして塞いでるから
通れない。
「邪魔だ。どけ」
俺は、睨み付けながら
ここを通せと言った。
「そんな格好して、もしかして彼氏とデートですか?それに人に頼む時は、ちゃんとした言い方ってものがあるでしょう」
「ちょっと、退いてくれませんか?」
あと彼氏とデートは
絶対ない。
無視をした。
「棒読み…まぁ仕方ありませんね」
まだ何かぶつぶつ言っているみたいだが
道をあけてくれた。
チッ。
面倒くさい奴。
「あ、咲さん。またねバイバイ」
咲さんに笑顔で手を振り、
俺は、飛び出した。
あとは、咲さんに任せた。
真っ先にそのまま
お店の入り口に向かう。
―――俺が咲さんに向けた笑顔を見た紺野が
見惚れていたということは知らない。
