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｢よ、夏子｣

｢わっ…！てっちゃん…｣


朝、学校に来て上靴に履き替えていると、突然だれかに頭を掴まれた。

おまけにその掴んだ手でワシャワシャとされてしまい、朝から少しビックリしてしまった。


｢お前、今日来るの早いな｣

｢う、うん。実は今日の放課後再テストだから、勉強しようと思って…｣

｢あー、それってこの前の数学だっけ？｣

｢うん、そうなの…｣

｢あれは簡単だろーが｣

｢かっ、簡単なんかじゃないよ…！｣

｢教えてやるよ｣

｢え…｣

｢早く教室行くぞ｣

｢うんっ…｣


『てっちゃん』こと、朝日奈 哲平は、私、日向 夏子と同じクラス。

中学校から一緒で、高２になった今でも仲が良い。

いつも皆の中心的存在で、誰彼問わず人気がある。

反対に、小学校からずっと人見知りな私。

男子とまともに話せない時がほとんど。

でもてっちゃんは、私にいつも話かけてくれて、ようやく最近慣れてきた。

私は、てっちゃんのことが好きだ。

こんな私、振り向いてもらえる訳がないけど。