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ひまわりのキミ。

第5章 ひまわりのキミ。5

「でも…」


その声と同時にてっちゃんの手が離れた。


「俺は…お前と付き合えねぇ」

「えっ?」


ど、どういうこと…?

『付き合えない』って、…何で?

突然のことに頭がついていかない。


「俺さ、サイテーな奴なんだよね」


今まで止めていた足を動かす。

私の足取りは重い。

サイテー…?

どこが…?


「人の気持ち、全然考えてない」


私には、そんな風には思えないよ…?


「誰かを傷付けるのだけは嫌だから…」


だって、てっちゃんは私に…光を与えてくれたでしょ…?


「俺だって辛い」


てっちゃんは、優しくて頼りになって、私の大好きな人。

そんな人の事をサイテーだなんて思わないのに。

「てっちゃ…」

「夏子。告っただけで終わってごめんな?…両思いって知れて良かった」

私の言葉を遮るように言った。

どういうことなの…?


「話、聞いてくれてサンキューな」


てっちゃんの顔は、何故か苦しそうだった。

なんで、そんな顔するの?

意味、分かんないよ…。

「もう家近いだろ?俺、こっちだから。じゃあ、気をつけて帰れよ」

「……うん、バイバイ」

なんとか絞り出した言葉。

私は、走っていく彼の背中を見つめる。

痛い…。

心臓が、痛い…。

ねぇてっちゃん…。


どうしてなの?


ポタリ。

私の目から涙が落ちた瞬間でした。


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