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ひまわりのキミ。

第14章 ひまわりのキミ。11

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「夏子」

「てっちゃん……」

「交代、したらさ、一緒に周ろうぜ」

「えっ?」


文化祭が始まって、私たちのクラスの出し物『ホストクラブ』は、かなりの大盛況。

そりゃあ、てっちゃんとか太陽くんいるもん。

私は厨房係で、お皿とかを洗っていたら、てっちゃんにそう言われた。

てっちゃんのスーツ姿はすごくカッコいい。

王子様、そんな言葉が似合う。


「良い?」


てっちゃんが聞く。


「何で急に…」

「…まあ、色々と」


てっちゃんは頭を掻きながら、俯く。

そんな急に言われても、私の気持ちの整理がつかない。

あの日からずっと避けていたから、話すのはすごく久し振りで…。

そして気まずい。

そんなので、今だっててっちゃんの顔なんて見れないし、一緒に周るなんて絶対に無理だよ。

それに、てっちゃんには…。


「彼女、いるじゃん」

「っ…」


大体、彼女いるのに他の女子といるってどうなの。

絶対ありえないよ。


「……なら、彼女がいなければ良い訳?」


てっちゃんがそう言った。


「どういう…」

「今すぐ別れてきたら、お前は周ってくれんの?」


てっちゃんの顔は真剣で、少しだけ怖かった。


「あ、の…」

「…ごめん。…でも、一緒に周って欲しいから、俺は」


そう言うと、自分の場所に戻って行った。

なんなの、それ…。

私が断れないこと知ってて言ってるんだ。

もう諦めるって決めて、最近楽になって来たのに…。

そんなことされたら、また降り出しに戻るんだよ…。


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