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ひまわりのキミ。

第15章 ひまわりのキミ。12

私とてっちゃんは前半に仕事がある。

だから一緒に周るのは後半。


「うぅ~…緊張して来たよ…」


さっきも話したけど、やっぱりまだ気まずい。

でも、彼女と別れたって聞いて少しは軽くなったと思う。

…サイテーだけど。

そんな呟きが聞こえていたのか、後ろから声をかけられた。


「何に緊張してんの?」

「あ、太陽くん…。お疲れ様」

「ありがと。まだ時間があるから頑張らなきゃだけどね」

「そっか」


太陽くんもスーツをしっかりと着こなしている。

いつもと雰囲気が違う。

私がお菓子をお皿に盛り付けていると、太陽くんが口を開いた。


「……後半、俺と周ってくんない?」

「えっ?」


突然のことだったし、意外な発言だったから状況を理解するのに時間がかかった。


「え、と…」

「俺、夏子と周りたいんだ」


私はてっちゃんと約束している。

だから断らないといけない…。


「私…」

「…テツと周るの?」


てっちゃんの名前が出て肩を揺らした。


「…さっき、夏子達が抜けたとき…追いかけてたらテツが誘ったの聞こえてたから」


聞かれて…たんだ。


「…ごめんなさい」

「謝らないで。しょうがないし」


そう言って太陽くんは笑った。


「夏子ー、お菓子まだー?」

「あ、今行きますっ…」


私がお皿を持って行こうとしたとき。


「ほんとに好きな人、いないよね?」


太陽くんがそう言った。


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