テキストサイズ

顧みすれば

第11章 盛夏

案内された場所へ行くと
部署の人はほとんど揃っていた。

「お、佐々木 来たか。
 まだ来てないやつもいるが
 時間も過ぎたし
 事業企画部の納涼会をはじめよう」

課長が合図をするとビールが運ばれてきた

「みんな、今期はよく頑張ってくれている
 国の方の入札も無事落札できた。
 いよいよアラブへプレゼンすることになった
 これが決まればあとは現場へバトンタッチだ
 もうしばらく頑張ってくれ

 今日は納涼会だ飲もうじゃないか
 
 乾杯」

「乾杯」

もうひと頑張りと聞いてみんな少し気が楽になったようで酒のペースも早い

「おっそうだ佐々木」

課長がジョッキをもって私の前に座った

「お前来週からアラブへ入ってくれ」

ゴクリと飲んだビールが変なところに入ってしまった。

「はい?アラブですか?」

「そう。施工部のやつが怪我して行けなくなったからピンチヒッター」

ピンチヒッター?!

どこかで聞いたことがある‥‥
私がピンチヒッターなるものをやらされてろくな目にあった覚えがない‥‥

いまだって山下常務と顔を会わせにくいのはそのピンチヒッターなるものをやらされたせいだ。

気が重い‥‥

ストーリーメニュー

TOPTOPへ