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顧みすれば

第11章 盛夏

「でも現場はまったくわかりませんが」

「大丈夫だ。施工部から別のやつが行くことにはなったんだが、アラビア語も英語も話せないらしくて、佐々木は通訳だ。」

通訳って英語なんてここ何年も話していない。確かに留学経験はあるけれど建設用語なんて全くわからない。

「無茶言いますね。他にも施工部なら英語を話せる人いますよね」

「それが、話せる人間はほとんど海外へ出ているか帰ってきたばかりらしいんだ。
 怪我したやつも全治1ヶ月と言うから戻ってくるまでの繋ぎだよ」

「はぁ。お役に立てなくても怒らないてくださいね」

「大丈夫だ。俺も行くし、ちゃんとフォローするよ」

フォローする?!‥‥
この言葉にもアンテナがたつ。

でも断れる要素は無さそうだ。

しかも来週って‥‥アラブってどんなとこ?
何を持っていけばいいの?

「来週って‥国内出張じゃないんですから」

自然と酒のピッチも早くなる

「準備があるなら来週1日くらい休みとっていいぞ
 あと、それが終わったらドバイで夏休みだ」

「ドバイィ~」

周りで聞いていた女の子達から悲鳴のような歓声が広がった

「課長‥自腹ですよね」

ちょっと座った目を向ける

「ん?交通費は出るぞ。アラブ往復の」

「夏休みになってないです」

課長はハハハと笑って行ってしまった。

おいおい!

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