テキストサイズ

顧みすれば

第11章 盛夏

部署の二次会に流れる波から美保先輩に引き剥がされる

「亜美はこっち」

美保先輩にガッチリ腕を捕まれ皆とは違う方向へ歩き出した。

「佐々木、二次会いかないの?」

松田くんがついてきた

「ったく、松田くんは空気読めないな。
 亜美ちゃんは私と話があるの」

美保先輩はわたしを掴んでいる反対の手で松田くんを押し退けた。

「僕も一緒に行っていいですか?」

美保先輩がギロリと睨む

「聞こえなかったぁ?
 私たち話があるの。

 そんなんだから
 御曹司に先越されるのよ」

「み、美保先輩!」

私は慌てて美保先輩の口を塞いだ。

「御曹司って
 山下常務のこと?」

「違うから。ね、
 今日は美保先輩と久しぶりに
 ゆっくり飲みたいから
 松田くんはまた今度ね♪」

手を振って松田くんと別れようとした

「オレも行く」

は?

「松田ぁ、
 あんたいつまでウダウダやってんの?
 好きなら好きって言えばいいじゃない
 付き合ってくれって告白すればいいじゃない
 そんなこともできない弱虫が
 この期に及んで慌ててみたって
 同情なんてしないわよ」

酔った美保先輩は松田くんに絡みだす

ストーリーメニュー

TOPTOPへ