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顧みすれば

第11章 盛夏

「それ以上の関係ではないって

 キスしたんですよね」


松田くんは常務に掴みかからんばかり


「ピュアボーイ♪

 大人の恋に順番は関係ない。


 kissだって女性を落とす手段に過ぎないよ」



「んギャーーーー♪」
「おぎょーーーーーーー!!」

オカマバーには野獣たちの雄叫びが響く

「ルイちゃん鼻血出てるよ」

「ちょっと聞いたァ♪
 完全ノックアウトだわ」

「松田くん、残念ながら敵にもなれないね」


美保先輩は憐れむように松田くんに向かって合掌した。

松田くんは力なく膝からソファーに崩れ落ちた。


「じゃ、そういうことだから

 亜美ちゃん連れて帰るね」

常務は私の肩を抱いて席をたつ

「ママ、飲み代は俺につけといて。

 そこのピュアボーイのやけ酒に付き合ってやってよ」


「了~解♪」


「田村さん、亜美ちゃん連れ出しちゃうけどいいかな?」


「どうぞどうぞ、お気になさらず♪

 これからピュアボーイを私とおネエ様たちで慰めますから♪」

美保先輩は満面の笑み
嬉しくて仕方がなさそうだ

松田くんは...項垂れたまま動かない。


私は常務に肩を抱かれ
店をあとにした。



「この風景見たことあるわねぇ♪」

ルイちゃんが呟く

「ほんと♪」

ママが嬉しそうに頷いた。

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