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顧みすれば

第14章 誤算

王宮では既に王が待っていた。


礼儀的な挨拶をしようとすると

「挨拶はよい

 バドルはいまどこにいる?」

王は挨拶しようとする私を押し留め本題にはいってきた。

「実は私もいましがた報告が来たばかりで今捜索中でございます」

「バドルにも困ったものだ。

 あいつもこの春で18になった。

 しかし聞こえてくる話は耳を覆いたくなるようなものばかり。

 残念だが王族から外れてもらうことにする。これ以上王子にしておいては王族もこの国も危うくなってしまう。

 宰相、今までご苦労だった。

 礼を言う」

王子でなくなる?!
今までの私の苦労はどうなる

「王、それではあまりにも...」

「宰相、君の地位は変わらない。

 君の仕事ぶりはこの国になくてはならないものだ。

 娘も妃のまま後宮で暮らすがよい」

「はっ。

 私が養育者として至らないばかりに

 王にもこの国にも多大なるご迷惑をおかけしたこと、心よりお詫び申し上げます。

 しかも、そんな私めに寛大なる処遇まで頂き、この宰相この身をとして王にお仕えさせていただきまする」

床がすり減るほど頭を下げ続けた。

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