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顧みすれば

第14章 誤算

王の御前から下がり、長い王宮の廊下を歩いていた。


ーーさて、如何したものか。

  バドルはすでに王子ではなくなった。

  必死に守る必要もない

  使い道のないバカな孫に成り果てた。

 
  娘が王子を産んだと知ったとき

  臣下の自分にもチャンスが巡ってきたと

  歓び勇んだのも束の間

  とんでもない性癖をもっていることが

  幼い頃に知れてしまった。

  虫を捕まえてくれば羽を千切り

  動物を見れば耳や目を削ぐ

  怖がった侍女は次々にいなくなった。

  生母である娘でさえ王子を遠ざけた。

  最近では村の娘を拐っては

  言葉では言い難い所業をしていた。

  その度に村を訪れその娘と両親に多額の

  慰謝料を払ってきた。

  王族から外れて一番ホッとしているのは

  この私だ。

  このまま王子でいられては私の財も

  底を尽きてしまう。


  平民となったバドルは

  はたしてこの国の民から許しを得られるか

  

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