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顧みすれば

第15章 救出

ヘリが飛び去り
誰もいなくなった王宮の屋上に
私と直哉は佇んでいた。



直哉は私に拳を振り上げた

何度も殴られ私の口の端から血が流れた

私は抵抗しなかった。

むしろ罰を受けたかった。


彼女が受けた痛みや悲しみ
絶望はこんなものではないだろう


直哉は数度私を殴り付け

静かに立ち去っていった。


直哉はなにも言わなかった。
なにも言わないことが
彼の怒りの深さを現しているようだった。





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