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顧みすれば

第17章 それぞれの愛

私を励ますように肩を抱いた王は

玉座に戻り

扉の向こうに向かって声をかけた。

「入ってくるが良い」

扉を開けて髭を生やした男が入ってきた

王は私に向かって言った。

「そなたに会わせたい男がおる」



髭の男は王の前に歩み出た。

「王にはご機嫌麗しゅう。

 お初にお目にかかりますロイド王子

 アラブの渓谷の族長にございます」

男は恭しく頭を下げた。


「遠いところすまぬの

 過日は世話になった」

王が柔和な顔で挨拶をうけた。

「我が王のためならば」


「ロイド、先日の後始末をつけてくれたのはこの男だ」

「私が彼女を助けたあとに乗り込んだのは警察では?」

王がニヤリと笑う

「警察にマフィアの後始末がつけられるか?

 それになマフィアには盗賊。
 同じムジナでなければ効果はない」


「王が盗賊に力を借りたのでございますか?」

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