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顧みすれば

第17章 それぞれの愛

「しかし王

 王妃には立派な王子たちがおります」

私はなおも王に詰め寄る
隣国から迎えた第四王妃の王子たちだ。

「そうだな。
 そなたの弟たちも立派な王子だ

 だが残念なことに王妃の実家の隣国は紛争の只中にある。
 ギリギリの平和を保っている我が国に危険な要素は入れてはいかん」

「しかし、私にはこれといった後ろ楯もございません」

王は私をじっと見つめた


「だから良いのだ」

「だから、良い?」

「そうだ。この国も変わってゆく。

 いや、変わらねばならん。

 いつまでも政略やしがらみに囚われていては世界から餌食にされてしまう。

 しがらみのないそなたが新しい国を作るのだ

 そなたの弟たちはそなたに誠実だ。
 それはそなたが小さい頃から目をかけ心を砕いてきた証し。きっと立派な両腕となり働いてくれよう。

 それにそなたには世界中に後ろ楯がいる」

「世界中の後ろ楯?」

「左様、オックスフォードの友人たちはそなたの力強い刀となり盾となってくれよう

 何も案ずることはない」

王は立ち上がり私の肩を抱いた。

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