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顧みすれば

第2章 会社員 佐々木亜美

「おまえ、まだアイツを引きずってんのか」


課長が気遣わしげに呟いた

「もう、過去の話です。
 今はそそられる男がいないだけです」

そして、二人とも口を塞ぐ。

そう、社内でも有名だった私と彼の恋愛。
最後は、彼は私を捨て社長の次女と結婚して
出世街道まっしぐらだ。

哀れみの目で見られていたあの頃の悔しさは忘れない。
彼を見返してやりたい気持ちがないわけではない。
でもいまは自分の将来のためにそこまでした男が憐れに思える。

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