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顧みすれば

第18章 穏やかな時間

私が日本を発ってからどれくらいたっただろう。


病室の窓越しに暑い日射しを照りつける太陽を見ていた。


セミが鳴き始めていた日本はもう秋風が吹いているだろうか?


季節感の薄いこの国にいると時の流れがわからなくなりそうだ。

でもここは東京と違ってゆったりと時が流れている。慌てなくてもいいと諭してくれているように感じる。


私の怪我は切り傷などの他に

左手首、右足首の骨折

肋骨が数本折られていて

まだ暫くはベッドから出られそうもない。


いつ日本に帰れるのだろう。


ここはとても設備が整っているので帰国しなくても充分な治療を受けられる。
しかもロイド王子が世界の権威まで呼び寄せて治療にあたってくれているので

とても日本へ帰りたいとは言い出しにくかった。

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