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顧みすれば

第21章 彼女の秘密

「皆さんの関係はわかりました。

 なぜ王と直哉の父上が女将に頭が上がらないのかも」

私は少しだけ頬を緩めてそこにいる大人たちを見回した。

大人たちは恥ずかしそうに笑っていたが

今まで絶大な存在だった王が

とても身近なひとりの男として写った。


王にもそんな未熟な若かりしころがあったのかと嬉しくも思えた。


しかし、その関係と彼女との関わりが見えてこない。

私は更なる質問を投げ掛けた。


「では、彼女はなぜ名前を変え

 いち会社員として生きているのですか?


 直哉のことも知らないふり?

 二人は知り合いなのですか?」


大人たちの顔が少し曇った。


しばらく沈黙が続いたが


「そうね、まずうちの商売を知ってもらいましょうか。ロイド王子」


彩月、いや女将が話し始めた。

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