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顧みすれば

第21章 彼女の秘密

だから、
まさか紗英ちゃんにあんなひどいことをするとは思ってもみなかったよ。


高校の頃に覚えたクスリからなかなか抜け出せなくてね。

あの頃はクスリの依存が深刻になっていたんだ。


入退院も繰り返していた。
幻覚も、幻聴も見られるようになって、
家の者たちも本当に手を焼いていた。

決して目を放してはいけない状態だったんだ


ほんの数分直哉から目を離したすきの出来事だった




隣の家からけたたましい叫び声が聞こえてね



家の者が急いで駆け付けたが、遅かった。


紗英ちゃんは無残な姿を晒していたと聞いたよ。
紗英ちゃんはまだ14歳。
中学生だった。


本当にすまなかった。

結城さんの家の人は直哉を羽交い絞めにして連れてきたそうだ。
当の本人は、まったく状況を理解していないようだったが。


私は急いで女将のもとへ向かったよ
一生償わせてほしいと土下座した。



女将は許すことはないとはっきり言った

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