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顧みすれば

第23章 傷つけあう 心

直哉の血液が紗英の体に行き渡り始めると


不思議と紗英の出血は止まり


すべてが安定してきた。


医師は直哉の輸血の針を抜き


輸血パックに切り替えた。


「もう、大丈夫です。

 あなたの大切な方は戻ってきました」


直哉はほっと息を吐き


微笑んだ


「よかった」


隣で小さく呼吸を続ける紗英を見つめた。



「今から彼女をICU へ運びます

 あなたも少し休まなくてはいけません。

 かなりの血を抜きましたから」


「彼女の隣で休んでも?」


医師は微笑み

「特別ですよ」

とウインクした。

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