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顧みすれば

第29章 失われた時を

表から若女将を呼ぶ声がする。


「呼んでいるわよ 若女将。

 今日も忙しそうね」


「ええ。

 年末だから忙しいわ」


「頑張ってね 若女将」


「もう、お姉さまったら

 若女将って」

そう言って恥ずかしそうに頬を染める。


「お姉さま

 お正月はうちへ帰ってらっしゃるでしょ。


 久しぶりに皆で過ごせるわね」


百合は本当に嬉しそうだ。


「そうね。

 皆でお正月なんて何年ぶりかしら」


「じゃあ、楽しみにしてるわ」


「ええ。さ、もういかないと。

 私が女将に怒られちゃう」


百合は笑顔で表へ出ていった。




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