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顧みすれば

第29章 失われた時を

私は直哉さんを拒絶した。


ビクリと動きが止まった直哉さんの手が


宙をさ迷う。



「いや  来ないで 」


私は背を向けて走り出した。



胸が苦しい。


涙が止まらない。


息ができない。



動き出した紗英の人生は


思っていたよりも



過酷だった。


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