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顧みすれば

第30章 決意

「ねえ」


前を歩く母と百合が振り向いた。


「しばらく日本を離れようと思うの」


突然の話しに少し驚いた顔をしたが


母は微笑んだ


「紗英の好きになさい。


 どうせ日本にいたって

 滅多に帰ってこないんだもの

 どこにいても元気で暮らせていれば

 構わないわよ」


百合は少し寂しげだったが


「お姉さまが

 お姉さまらしく生きられるなら

 どこにいても良いのではないですか。


 でも、時々は帰ってきてくださいね」


と笑顔を見せてくれた。


「ありがとう」


私はとびきりの笑顔を向けた。

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