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顧みすれば

第36章 愛の国

歩き出そうとした母が振り向き


「そうそ、直哉さん


 結城の玄関はいつでも開けておきますよ」



にっこりと直哉さんに向かって微笑んだ




直哉さんはガタンと椅子をならして立ち上がり




「ありがとうございます」




と深く頭を下げた。



母は嬉しそうに笑ってラウンジから消えた




「女将には叶いませんな」


総一郎さんが感嘆の声をあげる。



「許しが出たな 直哉」


おじさまが直哉さんの肩をたたく



直哉さんは黙って母の背中を見送っていた。



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