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顧みすれば

第36章 愛の国

「サハドも相当堪えたから


 もういいだろう。


 残り少ない余生を愛する人と


 過ごしたいと思うのは悪いことじゃない」



おじさまはゆったりとバーボンを口に運ぶ。



「ねえ、紗英ちゃん


 私の夢は叶いそうかしら?」


おばさまがキラキラした目で私に尋ねる



「おばさまの夢?」



「あら 忘れてしまったかしら?


 小さかったから仕方ないわね」



おばさまは一人で楽しそうだ。



「さ、私は部屋に戻りますね。


 明日の便で日本に帰るから。



 紗英 

 来月の百合の婚礼には出るんでしょ」


「ええ」


「ではまたね」


そう言って母は席をたった。




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