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顧みすれば

第5章 イントロダクション

外に出て伸びをする。

夏にはまだ間があるこの季節は
湿度も低くて快適だ。

「あ~昼寝したくなってきた」

「ですね。さすがに毎日室内にこもってるとおかしくなりそうですね。

コーヒーでよかったかな?」

石田さんが缶コーヒーを差し出しながらいう。

「ありがとうございます。
 いただきます」

ふたりで木陰のベンチに腰を下ろす。


「佐々木さんて何年目?」

「3年目です」

「えー?まだ3年なの?

 すごくしっかりしてるからもっとキャリアあると思ってた」

「それは老けて見えるってことですかね?」

少し拗ねたふりをする。

「いや、ちがうよ。
 誤解しないでくれる?

 本当に仕事ができるからさ。
 びっくりしてるんだ

 さっきの話だって設計の課長に佐々木さんからの提案を話したらいい解決策だなって感心してたよ」

「そんなことないです。
 毎日木下課長から鍛えられてますから」

「企画部って大変なんだね」

「広く深く知識を集めろって木下課長に言われてます。
企画は知識と知恵がなければ仕事にならないと。

 いつも、ボケだアホだといわれてますよ」

あははと笑ってみせた。






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