テキストサイズ

顧みすれば

第6章 ゲイバー さとし

「ねぇねぇ、あのあとどうしたの?」

ルイちゃんが身を乗り出して聞いてくる。

「別に帰ったけど?」

「あれから毎日のように山下常務が来るのよ♪

 あみちゃんにご執心みたいよぉ♪」

イチゴちゃんまで後ろから顔を出す

「いや、そういわれても。
 私はただのOLです。
 あれは、みんなに騙されたんだからね!」

水割りを一口飲んだら

あ!っと思い出した

「ママ、あの時大変だったんだから。
 あの席にうちの課長もいてヒヤヒヤよ。
 うまく化けてたからまだバレずにすんでるけど、
 あの接待 うちの一大プロジェクトだったんだよ!

 バレたら絶対にクビだよぉ…」

「大丈夫よ♪」

ママが封筒を取り出した

「宮部ちゃんから♪」

「宮部さん?」

「そ、あみに渡して欲しいって。
 あの接待の一番の功労者だからって」

「もしかして、バレた?!」

恐る恐る聞いてみる。

「まさか。亜美ちゃんが三住の社員なんて一言も言ってないわよ。

 あくまでもヘルプできたホステスのアミってことになってるわよ♪」

「よかったぁ」

ほっとため息を漏らす。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ