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第8章 懐かしい匂い

男の背後にいた若いサラリーマンの男性が

菜々に触れていた男の腕を掴み、

『ちょっとおっさん。

女の子が嫌がる事して

あんたはうれしいのか?』

と痴漢男に罵った。

その瞬間、電車は駅に滑り込み

電車のドアが開いた。

痴漢男は一目散に走って逃げた。

助けてくれたサラリーマンも

走って痴漢男を追っ掛けていく。

菜々はホームで座り込んでしまった。

近くにいた乗客の人たちが

駅員さんを呼びに走ったり

菜々に寄り添ってくれたりと

いろいろしてくれた。

そのあと、警察官や駅員さんが来て

いろいろ事情聴取されたが

菜々は呆然としたままだった。

事情聴取も終わり

駅事務所から帰る時

誰か呼んで帰った方がいいと

警察の人に言われたので

菜々はある人を呼んで

帰る事にした。

その人は仕事中だったけど

菜々からの助けの電話だったので

仕事を抜けてまで駅まで迎えに来てくれた。

『菜々ちゃん。大丈夫なの?』

「ううん。ごめんなさい片山さん。

わざわざ仕事抜けて来てくれたんですよね。

ありがとうございます。

わたし、わたし、、、。」

菜々は人目をはばからず泣きだしてしまった。

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