お前は俺のxxx
第108章 怪しい影…
相変わらず女子に囲まれている樹。
私に気付くと、妖しげな笑みを浮かべた。
そんな樹を気にすることも無く、
荷物を手に取ると私はカフェへと歩いた。
そういえば…
香奈はどこだろ?
私はポケットから携帯を取り出すと
香奈に電話をかけた。
「あ!もしもし香奈?」
『……ごめん。今は話せない。
落ち着いたら連絡するね。』
香奈はそれだけ言うと、
一方的に電話を切ってしまった。
まさか..香奈まで...?
いや!そんなこと無い!
香奈は周りに左右される子なんかじゃないもん。
タイミングが悪かっただけだ!
私はテラスへ行くのを止めて、
踵を返すと屋上へ上がった。
今までは…
香奈とカフェに行くことが
当たり前になってたけど…
もう私が行く理由は無くなった。
私はベンチに腰掛けると空を仰いだ。
「空…かぁ…。」
いつも私の隣で空を見上げていた颯太。
もう私の隣にはその姿は無い。
割り切ったつもりでいても、色んなところに颯太との想い出は残っていて、どうしてもあの頃を思い出してしまう。
(大丈夫!時間が経てば、自然と思い出すことも無くなる‼︎)
私は両頬を手の平でパチパチっと叩いた。