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叔父さんと僕

第2章  叔父さんと僕とはじめまして。

そして、今に至る。

父の記憶もだいぶ薄れてきているが、こんな人じゃなかった気がする。いや、違った。
予想外だ。

そもそも副流煙は主流煙より体に悪影響だ。そして僕はまだ未成年。更に悪影響だ。
プラスこの汚い部屋。窓も開いておらず、正直気分が悪くなりかけている。それに、どうやらこの人はお酒を飲んでいたようだ。
からのこの柄の悪い男ときた。こんな人とは一生縁はないだろうなと思っていたが、まさかこんな風に出会うとは思わなかった。もう一種の感動だ。

「……おい。」

「は、はい。…」

とんでもなく低い声で呼ばれると、背中に冷や汗が一粒流れる。

「由美ちゃ…テメェの母ちゃんはなんつってた?」

「えっと、仕事で当分家をあけると言うのでここに住まわせてもらいなさいって…」

「………。」

男はさっきよりもっと苦い顔をした。
お母さんこの人に伝えていなかったのか…?

「由美ちゃんの頼みはならしかたねェな…。俺の名前は松本昭彦。テメェの親父の弟だ。」

「は、はい。僕は大世良雪乃です。」

「ゆきのって…お前男だよな?」

「ええ、そうですけど…。」

「ふ〜ん…。珍しい名前だな。」

そう言うと男…昭彦叔父さんは立って、僕にお茶を汲んでくれた。

「おらよ。」

「ありがとうございます。」

1回だけの乗り換えだけでも、やっぱりずっと電車に乗っているのはきつい。
それに耐えた僕の身体に、冷たい麦茶は最高に染み渡った。

「あー…あと別にタメでいーよ。どうせ割と長い付き合いになりそうだし。」

「あ、はい。じゃない、うん。わかった。」

「ん。そんじゃ…」

そう言って昭彦叔父さんは再び立った。

「俺はちょっと寝るわ。徹夜明けでしんどいんだよ。」

そう言いながら、頭を無造作にかく。

「わかった。おやすみなさい。あ、時間教えてくれたら起こすよ。」

僕がそう言うと、昭彦叔父さんは

「あー…じゃあ3時間ぐらいしたら起こしてくれるか。」

今は4:30過ぎ。ってことは7:30ぐらいか。

「わかった。」

「そんで2人で飯食いに行くか。それまでテレビ好きなように使っていいぞ。PCもゲストの方だったらパスいらねェから。」

そう言って、昭彦叔父さんの部屋であろうドアを開けて中に入って行った。

「…とりあえず…。」

僕は部屋の片付けを始めた。

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