モテモテ男の裏の顔⁉︎
第29章 何だよ…これ。
水音を立ててゆっくり離れていった唇。
私はまだぽーっとした頭で湊を見つめていた。
『お前…そんな顔で見んなよ。
マジで止めらんなくなる…。』
私の鼓動はずっとトクトクと鳴り続けていた。
湊も……
そんな顔で見つめないでよ…
ねぇ…気付いてる?
湊…すごく艶っぽい顔してるんだよ…。
(湊…私ね…あんたのこと…)
思わず呟きそうになってしまう。
でも…
約束したから…。
〝 好きにならない 〟
って約束しちゃったから…
この気持ちだけは言えないよ…
その時。
湊が小さな声で何かを呟いた。
『あんなこと…
……………かったな…。』
湊の声は消え入りそうなほど小さくて、私にはその言葉を聞き取ることが出来なかった。
そして私の頭を腕の上に乗せると、湊は私の身体を優しく包むように抱き寄せた。
『おやすみ。』と言うと私のおでこに柔らかいキスをおとした。
「うん…おやすみ。」
私は湊の温もりを感じながらそっと目を閉じると、心地よい眠りについた。