病み✕つき
第2章 接近
「笑いすぎ。」
「ごめんっ、クスクス」
ちょっとふてくされてる天野君が可愛くて、切なくなる
こんな風に天野君と一緒に帰るのも、きっともう無いんだね…
「天野君、か、彼女とかいないの…?」
「いないけど。なんで?」
「別にっなんとなく気になっただけっ天野君って女の子に人気あるし!」
思わず口に出た質問を掻き消すように話を逸らした。
天野君に彼女がいるかどうかなんて、知ってるよ。
天野君の前の彼女も、その前の初めての彼女も、全部全部知ってるけど…
「別にモテないし(笑)話しかけられやすいだけ」
「そうかな?あたしのクラスの子も天野君のことかっこいいって皆言ってるよ」
「まじで?やった(笑)てか、江藤はどうなの?」
「えっ?」
「彼氏。いる?」
「い、いないいない!!彼氏とか全く全然一人もいないし!!」
「全否定かよ!(笑)江藤かわいいのに。」
「ぇっ」
…か、かわ、かわいい…??
可愛いって、
今あたしのこと、可愛いって言った…??
「なんで真顔?(笑)」
「…だって、可愛くないし…
あたしより可愛い子なんかいっぱいいるし…」
「そう?俺は可愛いと思うけど」
信じられない一言に、嬉しすぎて何も考えられなくなる
あたしを見つめる天野君の眼差しが夕焼けに照らされて、眩しくて見えなくなっちゃいそう
みるみる熱くなる顔を逸して、
この時間がずっとずっと続きますようにって、心の中で密かに祈った。
神様。
天野君が好きですーーー