病み✕つき
第3章 距離
文化祭前日。今日は全校生徒かぎ化祭の準備を行う。
あたしのクラスの出し物は出店でたこ焼きと焼きそばとクレープを作る。
今日は文化祭委員も主にクラスの準備を手伝うことになっていた。
「てか明日の後夜祭どうするー?」
「あたし彼氏と約束してるんだよね〜🎵」
「うっわ羨ましー!彼氏持ちの余裕見せつけないでくださーい」
「ごめんね♡」
後夜祭で誕生するカップルは毎年多いらしく、みんなそれぞれ期待を寄せていた。
別のクラスの子と付き合ってる美和ちゃんは余裕の表情。
「ねぇねぇらいむは?もう誰かに誘われてたりして…☆」
「ないないっ」
「えー、天野君は?」
「天野君…っ!?」
「誘ってみたらいいじゃん!せっかくなんだしさ」
「え〜っ…いや、無理だよぉ…」
「なんで?見るからにいい感じだけどなー?」
いい感じって…
でも天野君って誰とでも仲良く話すひとなだけだと思うけど…
『江藤さんいますか?』
教室の入り口から呼ばれ、見ると文化祭実行委員長だった。
「はいっ…」
「装飾係に連絡なんだけど、放課後木工室のセッティングお願いできない?あそこだけまだ終わってなくて」
「はい、分かりました」
「ありがとう。もう一人の人にも伝えといてくれる?」
「あ、はい」
仕事が増えちゃった…
なんてことよりも、天野君に会える機会をゲットできて内心ウキウキのあたし。
天野君に知らせるべくすぐに2組の教室へ向かった。
はぁ、なんか緊張する…
2組の教室になんて滅多に行かないし
教室の入り口から中を覗き、後ろの席の窓際に天野君の姿を見つけた。
「天野く…『ねー天野〜〜後夜祭一緒まわろってばぁ〜〜』
あたしの声はかん高い女子の声に掻き消された。