病み✕つき
第3章 距離
「えー?どーしよっかなぁ」
「どーせ誰もいないっしょ?いーじゃんっ」
「考えときます」
「えーー??」
窓際のせきにすわる天野君の隣にいたのは、スカート丈が随分短い茶髪セミロングの女の子。
もや…
なんだかもやもやした気持ちが一気に充満するようだった。
今呼ぶのはお邪魔かな…
集まるのはどうせ放課後だし、後ででもいっか…
教室を去ろうと方向転換をした時
「…江藤っ」
後ろから声をかけられて振り向いた。
声の主は天野君。
わたしに気付いて近付いてきてくれていた。
「どした?俺に何か用?」
「あ、えとね、文化祭委員長に言われて、装飾係は今日の放課後木工室のセッティングだって」
「おっけ。サンキュ」
「うん。じゃあまたね…っ」
あたしは逃げるように2組の教室を後にした。
天野君と話してる最中、ずっと茶髪の女の子の視線を感じていた。
天野君と話してたのはきっと、明日の後夜祭のこと
天野君、あの人と回るのかな…
もやもやもや…
天野君はかっこいいし優しいし、モテるのも知ってるけど
なんでだろ、なんでこんなに変な気持ちになるんだろ
今までずっと、見てるだけで満足してたのに…
あたし、いつからこんなに天野君のこと、独り占めしたいなんて思ってた…?