病み✕つき
第4章 証
天月君と付き合って一ヶ月が経った。
天野君の部活がない日は一緒に帰って、時々ゲームセンターや本屋さんに寄ったりする。
恋人らしいことと言えばそれくらい。
だけどそんな些細な時間が、とても幸せだった。
「らいむたちまだ手も繋いですないってまじ?」
「えー!うそでしょー!?」
お昼休み、いつものように情報通のさきちゃんが話題を持ちかける。
みんなの信じられないみたいな反応に、思わず苦笑い。
「いや…ほんと。あはは…」
「ひょえー、それでほんとに付き合ってんのぉ!?」
「付き合ってる…と思う。…一応」
「ったーく、天野ってあんな爽やかな顔してもしかして童貞?(笑)」
「ちょっ、美和ちゃんっ///」
涼しい顔で昼間から爆弾発言の美和ちゃん。
「ねーどーなの?らいむなら知ってんじゃないのー?彼女なんだし」
「しっ…知らない知らない!!」
「ふーん?でもさー、もう一ヶ月でしょ?まじで何もナシ?」
「う、うん…一緒には帰るけど…」
「えーやばいんじゃない?天野君ってモテるし。そんなんだと誰かに取られちゃうかもよー!?」
冗談交じりにそう言ったのは、さきちゃん。
「うん…だね」
たしかに、天野君は前と何一つ変わらない。
手繋ぐっていうか、まず触れてもこないし…
さきちゃんの言う通り、こんなんで付き合ってるなんて言えないのかもしれない。
心の中で密かに疑問に思っていたことが、なんだか現実味を帯びていくようだった。
あたしたち、ほんとに付き合ってる、んだよね?
ーーーーー…
「…天野君」
「ん?」
「天野君って…モテるよね」
「急に何?(笑)てか前もその話した気がする」
「だって…」
放課後、帰り道を歩きながら唐突に話を切り出した。
「あたしたち、付き合ってるんだよね…?」
「は?」
「…あ、違くて!なんとなく聞いてみたくなっただけっていうか…気にしないでっ」
「いや、気にするし」
笑ってごまかしたけど、天野くんは腑に落ちない表情。