病み✕つき
第4章 証
「俺はずっと付き合ってるつもりだったんだけど。…違った?」
「それは…」
『あれっ??天野??』
え…?
声の先には、あの茶髪の子がいた。
「偶然じゃん☆なに?今帰りー??」
「先輩」
"先輩"…?
「えーっと、この子が噂の彼女ちゃん?」
「まあな」
「…へぇ〜…」
そう言ってわたしをジロジロと見る目つきは心なしか冷たい。
「ねね、この前貸してたCD、聴いた?」
「あーめっちゃよかった!」
「でっしょ?また他のも貸したげるよ♡」
「まじで?」
楽しそうに話す二人。
やっぱり仲いいんだなぁ…
ていうか、"先輩"って…?
「…あ、わり。話し込んでた。」
居所のないあたしに気付いて話を終わらせる天野君。
「じゃあ俺たち帰るから…」
「あ〜お邪魔した?ごめんね(笑)またねっ🎵」
そう言って茶髪の子は去っていった。
「仲いいんだねっ」
「別に普通だよ?」
「…そっか。
ていうか、あの人先輩だったんだね!よく一緒にいるから2年生なのかと思ってた!あはは…」
わざと明るく振る舞うけど、二人の関係が気になって仕方ない
学年が違うのにあんなに仲が良いなんて…
たしかに天野君は目立つし、誰とでも気さくに話してるけど…
なぜだかあたしには、二人の関係が"特別"に見えた。
「…江藤、さっきの話…」
「あ、いいのいいの!ごめんね、もう忘れよっ」
笑顔を浮かべたけど、心の中はもやもやした感情が溢れていた。
ーーーーー…
ジャーッ〜〜〜〜
次の日の放課後、トイレの個室から出ようとすると、外からさきちゃんの声が聞こえた。
「てかさ、手も繋いでないってやばくない?
付き合ってるって言ってるけどさ〜ほんとに付き合ってんのかな?(笑)」
「でも告白されたんでしょ?」
「さーね。ほんとは自分から言い寄ったんじゃない?ちょっと男子に人気あるくらいで調子乗っててムカつくわ(笑)」
「さき毒舌!きゃはは!」
さき…ちゃん…?
思わずトイレに身を潜めて聞き耳を立てる。