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「家まで送らせて」


『え、あの‥‥っ』


「彼氏がいるとでも思わせれば諦めるかもしれない」



駐車場へ彼女を連れて行った神戸は半ば強引に身体を押し込んで愛車にエンジンをかけた。



『彼氏って、今日会ったばかりでですか？』


「うん。…じゃあ言い方を変えよう。守るものが居るって分かれば諦めると思うんだ」



さっきまでとは一変し真剣な表情になる神戸に彼女は一瞬驚愕の表情を見せるとすぐに応じるように頷いて見せた。




────愛車を走らせる神戸は助手席の彼女を見る。彼女は疲れたのか眠っていた。

そんな彼女の手に握られていた緑のスマホ画面には“父”の一文字
そっと彼女の手から外した具合に神戸は通話ボタンをタップさせ、一言。




















「───もう、貴方の好きにはさせない」


次の瞬間、切れた通話に神戸は勝利を確信した。





(黒のナイト)
(ああ、クイーン。君は俺が守ります)