君の隣の相棒さん、∥
第3章 愛、現(伊)
────突然切った長い髪。
神戸さんと同じくらい短くなった髪にはまだ慣れなくて少し違和感がある。
スカートが嫌になって男性用のスーツに変えた。
気分が変わると思ったけど、変わらなかった。
一課から移動になって特命係に来て、最初は暇を持て余していたこの場所にも漸く慣れて、仕事ずくめだった私には長い長い休息が訪れたんだと感じるようになって‥‥‥というか、そう思うようにしていただけだけど。
そんなことはどうでもいい。
特命係に来てからの私には何かが欠けていた。
その何かに気付くのには、そう時間はかからなかった。
「また溜め息?これで今日10回目だよ。‥‥そんなに会いたいなら会いに行けばいいのに…」
『…今更、会わせる顔なんて有りませんよ』
────伊丹さん。一課にいた頃の先輩で、私の恋人。
彼が好きだと言っていた長い髪を切った私には、今会わせる顔がない。
きっと今会っても笑えない、と分かっていたから…。