最後の恋は甘めの味で
第9章 相合傘
そっと上條くんが離れる頃、雲の間から光が漏れる。
あぁ、雨、上がったんだ
ボーっとしている頭でそんなことを思う。
「じゃ、俺、車会社にあるんで、会社戻りますね。また明日」
ぺこりと頭を下げ、元来た道を戻っていく上條くん。
........まさか......
私を雨から避けるためにわざわざここまで傘をさして......?
今一度、その背を見て、上條くんの右側の髪が妙にキラキラしていることに気付く。
よくよく見るとスーツの右側も.......
「.........!!!!」
あることを知った時、上條くんは人ごみに紛れて姿を消していた。
上條くんが私に傘を差し出しながら歩いていたのは右側。
その右側がそういえば車道だったことも思い出す。
彼はそんなことも配慮した上で私が濡れないよう若干傘を私寄りにさしていたんだ......
私はその場にしゃがみ込む。
最後の優しいキスもさながらあの男ってやつは.......
「っだけいい男なのよ.....」
今思えば、もうこの時には既に、私の枯れた心はあの男によって大量の水を得ていたのかもしれない。
あぁ、雨、上がったんだ
ボーっとしている頭でそんなことを思う。
「じゃ、俺、車会社にあるんで、会社戻りますね。また明日」
ぺこりと頭を下げ、元来た道を戻っていく上條くん。
........まさか......
私を雨から避けるためにわざわざここまで傘をさして......?
今一度、その背を見て、上條くんの右側の髪が妙にキラキラしていることに気付く。
よくよく見るとスーツの右側も.......
「.........!!!!」
あることを知った時、上條くんは人ごみに紛れて姿を消していた。
上條くんが私に傘を差し出しながら歩いていたのは右側。
その右側がそういえば車道だったことも思い出す。
彼はそんなことも配慮した上で私が濡れないよう若干傘を私寄りにさしていたんだ......
私はその場にしゃがみ込む。
最後の優しいキスもさながらあの男ってやつは.......
「っだけいい男なのよ.....」
今思えば、もうこの時には既に、私の枯れた心はあの男によって大量の水を得ていたのかもしれない。