テキストサイズ

最後の恋は甘めの味で

第13章 認めてはいけない

黙る私に心配そうに佳世が尋ねようとした時私は口を開いた。


「ううん。会えなかった。この時間までちょっと仕事もあったし待ってみたんだけど.....どうやらそのまま帰ったみたい」


苦笑いをし佳世に嘘をついた。


震える声を必死に抑えて。


佳世が鋭いのは知っていた。


嘘を付けばすぐにバレたし、本当のことを引き出された。


今回もきっと分かったはずなのに佳世は


「.....そっか。残念だったわねぇ。連絡の一本でも寄越してくれれば暁、早めに帰れたのにね。まあ、月曜日文句言ってやれば?ずっと待ってたのに!って」


と冗談を言うだけで本当のことを聞いてこなかった。


「じゃあ、気をつけて帰ってゆっくり休んで。また月曜日」


にこりと笑って佳世はそのまま部署を去っていった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ