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最後の恋は甘めの味で

第4章 あの人

その事実が深く胸に刺さる。



『来て、なんて酷いこと言うつもりないけど......一応、報告までに。それに合わせて籍も入れるつもりだ......悪い。本当に、ごめん』


そこであの人の言葉は閉じた。

何に対してのごめんなのか。



そんな些細な言葉でさえも私が傷つくことをあの人は知らない。



あの人に彼女ができたことは知っていた。



息子が写真を送ってくれたから。



私と正反対でふわふわしていて可愛い人。




だけどあの人は結婚も籍も入れなかった。




私に対しての罪悪感があったのだろう。


しかし、結婚をし、籍を入れる、ということはそれすらもなくなったということ。




あの人の中から私が完全に消えたということ。




跡形もなく。


「っ.......ふ.....」






私はこんなにも弱い人間だったのかと思うほど涙は止まらず流れ続けた。

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